絶大なる人気と認知度と誇るブランドECなら「効率優先型」こそが、利用者サービスにもなりますが、その資格を唯一持っているだろうユニクロでさえも「陳列型」から脱却をしています。これからのECサイトは、買うだけでなく集うことが目的となる集合場、 ECコミュニティ となる必要がありそうです。
Instagramの勢いに、ECが追いつかない。そんなもどかしさを感じているEC事業者も少なくないのではないか。ハッシュタグ「#パーツクラブファン」のついた投稿が3万件を超え、ユーザーからの問い合わせが激増したECサイト「パーツクラブ・オンライン」も似たような悩みを抱えていたが、新サービス「 visumo 」により、その課題を改善し、想定外のメリットも得ることができたと言う。
情報源: Instagramへの投稿写真からワンクリックで商品詳細へ 「パーツクラブ」のvisumo活用事例 (1/3)|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」
多くのユーザーがECサイトを「購入を目的に訪問」するのは間違いありませんが、ブランドとして提供するサービスが「購入するのに最適な場」だけでいいのかという視点において、大体のECサイトは「コンビニ的な効率消費」を促す「商品棚」に過ぎません。
目的の商品を最短ルートで手にし、手早く確実豊富な決済処理で目的を達成する「コンビニ型」において、商品の価値訴求は無駄な工数であり、印象に残るのは「レジの女の子が可愛い」だけで、エンゲージメントなど優先事項ではないのです。
ユーザー投稿をECコンテンツ化して ECコミュニティ 形成
ビーズや金具などのアクセサリーのパーツ販売をしているECサイト「Parts Club・オンライン」は、ユーザーが自社のパーツを活用して作ったアクセサリーのインスタ投稿を推進し、ECサイトでの活用に乗りだした。
C2C型のハンドメイドマーケットの隆盛に、手作りの楽しさとそれをお披露目するコミュニティが活発化している。その背景を受け、オンラインの推奨のハッシュタグ「#パーツクブファン」の投稿も3万件を超えているという。
「投稿してくれるユーザー=パーツクラブのファン」とのコミュニケーションをもっと深められないかと考えていた。また、投稿が増えるのに従い、投稿を見たユーザーからの「このアクセサリーのこのパーツはどれですか?」といった問い合わせも増加し、対応について検討する必要が出てきていたという同社。
つまり、ユーザー自作アクセサリーの投稿がトリガーとなり、ECサイトの訪問が増えたはいいが、サイトに陳列されたパーツが「陳列された」表示だけでは、トリガーとなった投稿のアクセサリーをどうやって作ればいいのかがわからないという問題に直面したワケです。
パーツを買うには便利だが、それはそもそもユーザー自身が「何を作りたい」かが顕在化した場合のみ有効であり、可愛いアクセを自分でも作ってみたいという潜在したニーズに応えることはむ難しいのです。
そこで同社は、nstagramの投稿を自社ECに活用できるサービス「visumo(ビジュモ)」(提供元:ecbeing)を導入し、ユーザー投稿をECコンテンツとして活用することで、潜在ニーズの発掘と刈り取りをサイト内で完結することに成功した。
もちろんユーザー投稿を活用するには、当のユーザーの許諾が必要。この手間が「サイトとユーザーとの新たなコミュニケーション手段」となり、ECサイトはユーザー作品のお披露目の場として、コミュニティ化してゆく。
ECに活用されるユーザーの意外な反応
visumoのシステム自体に、ユーザーに掲載許諾を得るリーチ機能が搭載されており、多くのユーザーへの許諾の手間が省けたとしても、肝心のユーザーから「拒否」されてネガティブな反応となっては本末転倒だが、ユーザー側の反応は意外なモノのようだ。
写真の掲載許可を打診すると、『ぜひお願いします』と喜んでご快諾いただけることが多いいう。
これはユーザーからブランドやサイトへのベネフィットの証明とも言える。ユーザーからすれば、販売用に利用されるというネガティブよりも、自身の作品はもとより自身を公に認めてくれた証としてポジティブに受け入れられていることに他ならない。
価値の共創場としてECサイトがコミュニティ化し、単なる「陳列コンビニ」から脱却したとも言える。
サイトの訪問目的が「買うだけ」なら、より安くよりお得なるのは当然のこと。クーポンやセールだけがサイトの情報発信となってしまうのはこの為だ。
実際、visumo導入後には、PV数が全体の1割アップしたといい、ユーザー投稿写真を見て商品詳細ページに遷移する割合も15%以上アップしたと成果は上がって言える。
サイトエンゲージメント数値といえる、ページ/セッションや滞在時間、直帰率の改善にも寄与するのは間違いありません。
コーディネイト投稿アプリ「WEAR」にしても、ユーザー投稿コンテンツ(UGC)がコマースに活用されているのはご存知の通り。ECサイトが「効率的な目的購入の場」から「購入以外の訪問目的を提供」できるサービスの場となるのはそう遠い日ではないようです。構築ツールもありますし。
このvisumo、ecbeing利用社だけの提供ソリューションではないようなので、導入検討すべきツールといえます。ただその前に、顧客とサイトの関係性を構築する必要はありそうですけどね。
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