直営店こそブランドの証であり、金融機関の融資も店舗実績がベースだったり、出店が錬金術化した時代もありましたが、今やその憧れの店舗が「大きな負担」と化しています。 自社EC強化 によって得られる顧客満足度やNPSなどが融資要件に含まれる日もそう遠くないリアルなのです。
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響で、様々な企業のデジタル化・EC化が進んでおり、新たにECを始めたり、ECへの注力度合いをあげたりする企業が増えています。新型コロナの影響により生活者の消費行動が大きく変化する中、EC企業はどんな影響を受けているのでしょうか?
売上への影響は?
EC売上
大きく良化:20.4%
少し良化:36.7%
変化なし:24.5%
少し悪化:12.2%
大きく悪化:6.1%
実店舗売上
大きく良化:00.0%
少し良化:14.3%
変化なし:7.1%
少し悪化:42.9%
大きく悪化:35.7%
ECで良化したとしても、実店舗売上の減少をカバーするまでには至らないというのが現実で、ビジネス全体では「大きなネガティブ」でしかないのが、自粛による経済活動の抑制だったといえます。
加えて、4月、5月の自粛期間で「良好」だったECも、6月に入るといわゆる「特需」は消え、停滞化が現れ、客足も回復していない実店舗の落ち込みのダブルパンチに見舞われているというのが現実です。そう実のところ、ECが好調といっても、その好影響は軽微であって、実店舗という販売チャネルの好転かビジネスモデルの変革が進まない限り、ECの貢献度など微々たるものでしかないのです。
ECでの広告利用に変化は?
広告出稿状況
大幅に増やして出稿中:8.2%
少し増やして出稿中:12.2%
コロナ前と変わらず:53.1%
少し減らして出稿中:12.2%
大幅に減らして出稿中:6.1%
停止:2.0%
そもそもコロナ前から出稿なし:6.1%
不明:4.1%
CPAへの影響
大きく良化:10%
少し良化:30%
変化なし:37.5%
少し悪化:15%
大きく悪化:7.5%
ECが好調ならウェブ広告も調子良いでしょうと思うはシンプルですが、市場的には行動だけでなく、懐具合までも自粛や抑制される可能性も。実際コロナによる影響で、商品が入荷しないという話もあり、こと広告構図は単純ではありませんでした。それでも大半は「大きな変化」もなく、CPAの高騰もないようで、ウェブ広告に関しては「通常営業」だったといえるでしょう。
ただし、こと取扱商品がコロナ情勢に関係度が高い場合、大きな需要変化を伴うようで、季節要因と相まった「特需」は前年同期比の300%なんてのは珍しくないとも。
重視している販売チャネルは?
コロナのビフォアー/アフターの差を数値化
自社EC:43.1 / 54.9% = +11.8
モールEC:7.8 / 7.8% = 0
その他オンライン:7.8 / 11.8% = +4.0
直営店舗:5.9 / 2.0% = -3.9%
小売店舗:25.5% / 17.6 = -7.9%
その他オフライン:9.8% / 5.9% = -3.9%
ビフォアー/アフターでの「+」数値が大きいほど、今後重視されるチャネルというワケですが、基本的に「卸業」が売上に大きく関与する業界でも、この「店舗離れ」が加速する状況であれば、それこそビジネルモデル全体に関わる事案といえます。
あくまでも「現時点での見解」でもあり、実店舗でこそ展開可能なリアルの価値が再認識されれば、チャネルとしての重要度も存在感も増しますが、その時実店舗の役割が「販売」であるとは限らないのです。
コロナ前からも実店舗という販売チャネルへの変化や立ち位置、店舗としての在り方までも議論されていたワケで、コロナが5年程度の時の進みを早めたとも言えます。
時計の針は戻らない、だが自らの手で進めることはできる。本来それは意思あるのもの行動ですが、環境変化という強制力の行使には、対応力を発揮するしかないのです。