QRコードをはじめとする「モバイルデバイスを軸にしたキャッシュレスな支払い」、いわゆる「 モバイル決済市場 」は、2017年度の1兆円に対して、5年後には4倍の4兆円突破が予測されました。同時に「あらゆる電子決済の市場規模」は、100兆円到達が見込まれ、現金を使わない世界への歩みは、EC決済にも密接に関係してくるのです。
矢野経済研究所は、国内モバイル決済市場に関する調査結果を発表した。調査期間は2018年5月~10月で、調査対象は各種決済サービス提供事業者等。
モバイル決済市場 4兆円規模へ覇権争い
100兆円のデジタル決済規模に対して、モバイル決済分が4兆円というのも「少なすぎる」印象です。現金を持たずにお支払いを済ます手段としては、常に手元のあるデバイスが代替するハズで、その筆頭は「スマホ」であり「モバイルデバイス」であることが当然とも思えます。
いずれにしても、モバイル決済が「お支払い手段」のスタンダードとなることは避けることはできませんから、リアル店舗でもECでも「同一の支払い手段」が利用されるやすくなるのは必然となります。
そういった意味でも、モバイル決済ブランドのメジャープレイヤーとして上位3社に入り込むことは、それはそのまま「3/4兆円分のお財布を握りしめた」も同然というワケです。
さて、ECにおいては、その決済ブランドが有望であり、決済手段として用意すべきものなのでしょうか?
モバイル決済市場 ポイント経済覇権を映し出す
消費税増税分をポイントで付与して負担軽減という、もはや何のために税金を引き上げるのか不明瞭な施策を進めるほど、ポイント大好きなニッポン。
「ポイント与えときゃ喜んで買い物するんだろ愚民どもめ」と思っているかは定かではありませんが、「使えるポイント」としての有効性が、モバイル決済市場のシェアに比例することが予想されます。
実は、発行ポイントの会計処理は明確なガイドラインがなく、国際会計上は「極めてグレーもしくはアウト」とされるので、ポイント施策はガラパゴスな次第です。
その意味では、ApplePayやGooglePay、Paypalなどの外資系モバイル決済ブランドが市場を占拠することは極めて困難なのではと。利用ブランドとしては普及するでしょうが、ポイント付与の面では国内プレイヤーとの連携が必要です。
その点、AmazonPayはポイント付与の弱点をdocomoのdポイントに活路を見出しました。当然プライム会員向けのサービス施策も有効ですが、ことポイント面では、楽天やYahoo!の大判振る舞いに太刀打ちできませんから、ポイント乱発はdocomoにやらせる次第です。
筆頭プレイヤーブランドはECに有効か
国内とポイント事情で勘案する限りにおいて、普段の支払いブランドがECにも加味されるとすると、筆頭ブランドは、楽天PayでありYahoo!IDとなるでしょう。Yahoo!IDはPayPayで普及するとして、重要なのは第3のブランドであり、上位社をも凌駕する可能性を持つのは、LINEPayが有力候補となるでしょう。
すでにECにおいては、ログイン、コミュニケーション、広告と「決済以外」の面での有効性は立証されている次第です。一気通貫で残すは「決済」となりました。
みずほ銀行とタッグを組んでの銀行・金融業の進出を発表したLINE。国民的コミュニケーションインフラは、様々ななサービス領域の拡大の仕上げとして、我々の財布と成すべく、突き進んで行くワケです。
決済IDとしてはの信頼確保に「メガバンク」を収めたLINEが、ECの主要決済となる日はそう遠くはありません。
ただしこれらの国内筆頭決済ブランドは、グローバルECには役には立たないので、国内サイトと海外向けサイトは「ワンドメインでは無理」という見解なのでした。
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