フルフィメント といえばアマゾンなワケで、顧客第一主義を追求するひとつのカタチが フルフィメント を形成させ、その普及が顧客にとっての当たり前になったことで、ECの物流限界・配送コスト・人手不足問題が噴出したのは何とも皮肉な話ではありますが、モールのフルフィメント標準化と自社ECの3PL具合が加速すると思われます。
ECの注文から配送までの関連業務全般を意味する「フルフィルメント」。スムーズな配送を実現し、面倒な在庫管理や顧客管理を一手に任せられる代行サービスもあり、Amazonやヤマトなどの代行サービスを検討している運営者も多いのではないでしょうか。ここでは、改めてフルフィルメントとは何か、メリットとデメリットにはどのようなものがあるかということを解説し、実際の代行サービスについても紹介します。
フルフィメント ってどこからどこまで その業務範囲
本来フィルフィメントはマーケティング用語であり「受注から決済に至るまでの業務全般」を示していました。販売促進活動以降の部分ですので、マーケティング用語といってもマーケティング業務外なのが実情です。
1:在庫管理
2:物流管理
3:商品梱包
4:発送業務
5:決済確認/入金管理
6:顧客管理
7:返品・クレーム対応
ZOZOTOWNが発表したフィルフィメントサービスは、商品の撮影などのささげ業務なども含めているので、どこまでが「フル」かは事業者毎の考え方次第といったところですが、フィルフィメントサービスを提供する側の事業メリットとしては、自社モールでの在庫充実と欠品解消の優先度引き上げなど、顧客との機会損失防止が挙げられます。
自社ECで導入が進むだろう3PL / 3rd Party Logistics は、上記の業務で1〜4までが主となるでしょう。委託業務幅はサービスの充実度や差別化で拡大する傾向にありますが、基本的には「売る為のマーケティング業務」と「売った後のアフター業務」に大分されるでしょう。
業務の選択と集中とはいえ、何から何まで業務を「ささげ」たら、一体何のために自社ECをやっているのか意味不明ですね。
フルフィメントのメリットから自社ECの3PL加速を予見する
フルフィメントサービスの恩恵は、注文受付以降にも発生する、多岐で時間的拘束もあり肉体的にも負担の大きい業務をスピーディにスムーズにして、業務効率が格段に引き上げることにあります。
これは購買したユーザーにも、最適な処理を最短の時間で確実に遂行することになり、購入品目と発送品目の入れ違いや間違いなどの発送ロスや時間的経過を削減することにつながります。
また働き方革命な昨今ですから、押し迫る配送時間に間に合うような強制オペレーションから業務負担が後押しされ、人員は増やせないけど残業が増えるという悪循環な業務環境に陥ることを防ぐことも期待されます。
そもそもECにおける送料無料や明日着などの「過度にも思える顧客サービス」が一般化することで、そのいびつな負荷が物流面のシワ寄せとして可視化した面があります。かつてキツくてキビシくてキタナい3k労働環境は忌み嫌われましたが、が、走れ止まるなと厳命された佐川男子が持て囃されたにもつかの間、もうすっかり人手不足な労働環境の代表格な配送業界において、業務効率化は物理的処理能力を超えているのが現状であり、拡大基調のECを支えるには不可能な局面にまで追い込まれています。
再配達の削減やラストワンマイル手段の多様化などの改善は、がん細胞に赤チンを塗る程度の気休めでしかなく、根本的には、絶対的な配送量を減らすか、配送元を減らすしかありません。量が減ることはありませんから、現実的な選択肢は配送元を削減可能にする3PLの普及しかないのです。
今後EC市場の拡大には、各事業社個々を発送元とするのではなく、発送元を一箇所の倉庫に集約することが欠かせなくなるでしょう。楽天市場スタイルは無くなってゆくことでしょう。この点無料出店で店舗数を増やすだけ増やすYahoo!ショッピングがどのように対応するか注目されますが、少なくとも店舗を持たない自社ECサイト運営事業者が自前で倉庫を整える必要性は皆無といっていいでしょう。
それと同じくらい配送効率が極端に悪いクリック&コレクトが主流になるとは思えませんので、今後フルフィメントのモールと自社ECの3PLの在庫連動が円滑なシステム構築先が、ZOZO株以上に「買い」な次第なのです。