緊急事態宣言発出による外出や店舗営業自粛は、その余波として、ショッピングをはじめとする生活様式そのものに新たな「基準」が生み出されるに至りました。 小売チャネルの新たなメインストリームに躍り出た EC利用状況調査 から、ニューノーマルの扉を開いてみましょう。
SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは8月17日、「futureshop」シリーズの利用状況からコロナ禍における消費者のEC利用状況に関する調査結果を発表した。
情報源: 新型コロナ下のEC利用状況調査、利用デバイス、新規客、購買単価や決済手段の変化は? | ネットショップ担当者フォーラム
EC利用状況調査 利用デバイスの変化
2019年 スマホ経由での注文割合
4月:61.83%
5月:62.71%
6月:63.95%
2020年 スマホ経由での注文割合
4月:67.88%
5月:68.05%
6月:67.07%
ECへのアクセスも購買もスマホが主流となった現在、その割合の変化にそれほどの驚きはありません。逆に7割を超えないんだなという率直な感想と、外出自粛にあってもアクセスデバイスはPCではなくスマホなんだなという若年層のジョーシキが腑に落ちないオッサンであることを再認識する次第です。
注文件数の変化
スマホ経由
4月:278.07%
5月:277.66%
6月:222.11%
PC経由
4月:178.40%
5月:202.38%
6月:174.75%
どちらにしても注文件数は大幅にアップしており、世代問わずECの利用機会が増えたことを示しています。緊急事態宣言解除後の6月はやや沈静化をしているようですが、今後ニューノーマルな生活様式にECが密接に関わるとしても、何もせずに勝手に客が増えるという幻想を抱くのは禁物のようです。
新規客利用状況の変化
4月:334.42%
5月:316.94%
6月:226.14%
特段の広告や集客施策を行わずのほほんとサイト開設しているだけで、ほぼ200%アップというバブルが味わえた4月、5月ですが、ほとんどの事業社が店舗を抱えているだけにあって、現実に直面している問題の大きさに、ボーナスステージの高揚感などありはしません。
今後の課題としては、この時期に獲得した新規会員を休眠させるような放置状態を、如何に回避するかにあります。基本運営姿勢の問題ですね。
購買単価の変化
スマホ経由購入単価 / 前年同月比
4月:1万1234円 / 96.44%
5月:1万0943円 / 95.80%
6月:1万1328円 / 100.54%
PC経由購入単価 / 前年同月比
4月:1万3286円 / 95.82%
5月:1万2736円 / 92.65%
6月:1万3384円 / 99.21%
購買単価が前年を上回ったのはスマホ経由による6月のみという結果に。利用機会が増える分、単価が減少するというお約束です。
決済手段の変化
決済方法の成長率
ID決済 / AmazonPay、楽天Pay、ApplePay
4月:122.61%
5月:122.52%
6月:114.49%
クレジットカード
4月:107.14%
5月:112.11%
6月:110.95%
現金・その他 / 店頭払い、後払い、口座振込、コンビニ払いなど)
4月:81.95%
5月:75.19%
6月:80.16%
リアルショッピングでのキャッシュレス推進に、ポイント還元事業が終了した6月の成長率鈍化が直接要因とは思えませんが、現金利用の減退は継続するものと思われます。
新規のサイトでも住所やクレカなどの登録の手間を省けるID決済の利用が増えるのは間違いなく、PayPayのサイト実装加速もあいまって、新規客獲得に、ID決済の主要ブランドを取り揃えておくことは必須なのです。
確かにコロナ禍によって、ECはその必然性と販売チャネルとしてのポジションがアップしましたが、小売事業を根本から覆すほどのインパクトには欠けるにも正直な感想です。つまりコロナ禍を経たニューノーマルな生活様式などがそう長続きするような気配もやや薄く、以前のような非効率で面倒で中間マージンボラれまくるアナログチックな商慣習もしっかり残るだとうとも。一夜にして真逆の価値観に慣れ親しむ「豹変」を得意とするニッポンでさえ、コロナ禍が変革しえる部分は限定的なのかもしれません。